BAKERSFIELD |
CALIFORNIA |
(BFD) |
ベーカーズフィールド駅はサンホーキンズ号の起点・終点駅です。 ただし、線路はまだ先へと続いているので、終着駅といった雰囲気は全くありません。 ここから南へはアムトラックバスが列車と接続し、ロサンゼルス方面へと運行されています。 ベーカーズフィールドからロサンゼルスまでのアムトラックバスは6往復も運転されていて、輸送密度の高い区間です。 それならばアムトラックの列車もこの区間を走らせてしまえば良いのにと思ってしまいますが、それが出来ないのです。 アムトラックの列車がベーカーズフィールドを終点にしている理由は、この先(南)に厳しい峠が控えているためです。 と言っても、勾配がきつくて登れないという牽引力の問題ではなく、アムトラックが入る隙が無いくらいに貨物列車が走っているという、輸送能力の問題があるからなのです。 この線は一級の大幹線ですが、単線区間が多い上に線形も悪く、もうこれ以上の増便は望めない程の飽和状態となっています。 貨物列車の便数を減らしてアムトラックの列車に充てるということは現状では不可能なので、バス連絡に頼らざるを得ません。 しかしたとえアムトラックが列車を走らせたとしても、大きく迂回している上に線形も悪く、ハイウェイで一直線にロサンゼルスまで結んでいるバスに所要時間では適うわけありません。 線形の悪い峠ということで、この区間にはループ線があります。 これはアメリカの鉄道ファンの間でも有名で、峠の名前、もしくはそこの地名から、テハチャピ・ループ(Tehachapi Loop)と呼ばれています。 ベーカーズフィールドからは南東に60キロほど行った、州道58号線のすぐ西側にあります。 このループ線の写真を見たことがありますが、カリフォルニアらしい乾燥した土地で、木々のあまりないのっぺりとした丘陵が続いていて、深山という雰囲気はなく、ループ線の全景が見渡せることが出来る露出度の高いループです。 編成の長い貨物列車がぐるりと一周して 「α」 の形になっている場面を見ることが出来ます。 このようなループ線は、鉄道ファンにとっては楽しいものですが、鉄道会社にとっては障害でしかないでしょう。 しかし、なぜこれだけの輸送需要のある区間なのに、いまだに複線化・直線化などの路線改良が行われていないのでしょうか、本当に不思議です。 旅客鉄道に関しては、ロサンゼルス地区(南カリフォルニア)とサンフランシスコ地区(北カリフォルニア)を結ぶ高速鉄道の計画があり、そのルートの最有力候補がサンホーキン・バレーを経由するものとなっているので、ひょっとするとこの区間に、高規格の路線が一直線に貫通するかもしれません。 ベーカーズフィールドへと話を戻します。 この駅には2000年に竣工した近代的な駅舎が建っています。 清潔で明るい駅舎は居心地が良く、古風な駅舎派の私も素直に満足感を受け入れてしまいます。 この駅はアムトラック係員のいる有人駅なので駅施設は充実しています。 この辺りは線路配置が東西に敷設されているので、北行きのオークランド方面が西、旅客列車はないけれど南方向のロサンゼルス方面が東となります。 この新駅舎に移転する前に使用していた旧駅舎が1.5キロ西に残っています(所在地: 1501 F Street)。 この旧駅舎は1985年建造のアムトラックが建てた駅舎で、アムトラック駅舎特有のこげ茶色の屋根と薄茶色の側面をしています。 新駅舎と比較して見てしまうので、旧駅舎の小ささが余計に目立ちます。 駅舎や駅周辺施設共にとても狭く、本当に新しい駅舎が出来て良かったなと心から思います。 この旧アムトラック駅舎の前、つまり1985年以前はアムトラックはどうしていたのかというと、たぶん旧サンタフェ鉄道の駅舎を使っていたのではないかと推測します。 この旧サンタフェ鉄道の駅舎はすでに解体されてしまっています。
再訪:
星野信夫さんからベーカーズフィールドとその周辺に関する情報を頂きましたので、ここで紹介いたします。 「アムトラックになってからカリフォルニア州ベーカーズフィールドより南はバス連絡になりました。 此はアムトラック以前の名残です。 アムトラック以前、サンタ・フェ鉄道(ATSF Atchison Topeka & Santa Fe Railway)シカゴ~オークランド(サンフランシスコ)間の直通大陸横断特急がカリフォルニア州バーストゥ(Barstow, CA)からロサンゼルス方面に行かず(カホン峠を通らない)に北西に向かってテハチャピ峠を通ってベーカーズフィールドを経由してオークランド(サンフランシスコ)に向かっていました。 アムトラック以前でもロサンゼルス~オークランド(サンフランシスコ)でゴールデン・ステート号の場合はベーカーズフィールドより南はバス連絡でした。 又、シカゴ~ロサンゼルス間の直通大陸横断特急~オークランド(サンフランシスコ)相互間の場合もベーカーズフィールド~バーストゥでバス連絡でした。 サザン・パシフィック鉄道(SP Southern Pacific Transportation)サーガス経由でロサンゼルス~オークランド(サンフランシスコ)間に縦断特急(サン・オーキン・デイライト)を運行。 サン・オーキンズと云っても運行形態は旧ATSFのやり方そのものです。 此のベーカーズフィールド~モハービ(Mojave, CA)間が曲者で52マイルで3600フィートの登りと十数カ所のヘアピンカーブと一箇所のループ線が在りベーカーズフィールドからサミット迄は大部分の区間が単線と云う大変な難所で、運行速度に厳しい制限が有り、列車通過本数が常に限界寸前。 更にこの線路はSP(UP)が運行を管理しATSF(BNSF)が乗り入れる形になっていますので乗り入れる形になっているATSFはベーカーズフィールド~モハービ間の旅客列車を少なくする必要が有った(旅客列車を増やすと貨物列車を減らす必要が発生する為)。 タハチャピ・ループはカリフォルニア州歴史史跡に指定されています。 タハチャピ・ループ含むタハチャピ峠のベーカーズフィールド~モハービ間の輸送実績は1972年で5000万米トンとなって全米第5位、2002年は7500万米トンで全米11位で伸長率は+25%です。 タハチャピも険しくベーカーズフィールドで海抜400フィート、最高点のタハチャピ・サミット間の平均勾配が13.98パーミルで低いのですが、ベーカーズフィールド・アムトラック駅からの勾配の距離が80.64kmと長い、途中のカリエンテ~タハチャピ・サミット間が43.5kmで853.5mの登りで平均勾配が19.7パーミルで1万トン超の貨物列車では限界に近い勾配です。 最急勾配も25パーミルあるので、最高運転許容速度がループを含む一帯は時速23マイルに制限されています。」(原文)
|
駅情報: |
所在地 |
601 Truxtun Avenue |
|
経緯度 |
北緯35.37度 西経119.02度 |
|
標高 |
122m |
|
人口 |
347483人 (2010年統計) |
|
駅員 |
有人駅 |
|
営業時間 |
4:30 - 22:30 毎日 |
|
駅舎 |
近代駅舎、2000年建造 |
|
乗降客数 |
476767人 (2011年度) |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ Oakland, CA / Sacramento, CA - Stockton, CA - Bakersfield, CA ] |
2012年8月訪問 |
||
駅舎正面
(北側) |
駅舎正面
(北側) |
|
駅舎西側 |
駅名標 |
|
駅舎ホーム側 |
駅舎ホーム側 |
|
待合所(奥にチケットカウンター) |
待合所 |
|
プラットホーム |
アムトラックバス乗り場 |
|
アムトラック・カリフォルニア車両 |
出発を待つサンホーキンズ号 |
|
東方向をのぞむ |
オークランド方面(西)をのぞむ |
|
Truxtun Avenue (駅付近) |
Chester
Avenue (北方向をのぞむ) |
|
2001年12月訪問 |
||
駅舎正面 |
駅舎正面 |
|
駅舎西側 |
駅舎ホーム側 |
|
待合所 |
出発を待つサンホーキンズ号 |
|
東方向をのぞむ |
オークランド方面(西)をのぞむ |
|
アムトラック旧駅舎 |
旧駅舎からオークランド方面(西)をのぞむ |
|
ベーカーズフィールドからハイウェイ5号線でロサンゼルス(南)へ向かうと、前方にテハチャピ山地が壁のように迫ってきます。 この山脈がロサンゼルスとベーカーズフィールド間の交通の障害なのです。 ハイウェイは右の写真中央の一番標高の低い所を越えますが、それでも峠の標高は1275mに達します。 鉄道はハイウェイよりも東側を通り、テハチャピ峠(1156m)でこの山を越えています。 |
||
ベーカーズフィールドには旧サザンパシフィック鉄道の駅舎が健在です。 アムトラック駅の約3キロ北東にあり、所在地は:
Baker Street at Sumner Street 現在はユニオンパシフィック鉄道の事務所として使用されています。 (写真提供:Mr. Jeff Weber) |
|
| 駅検索ページ | [ B ] の駅 | カリフォルニア州の駅 |
| アムトラックのページ | ホーム |