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Amtrak - Essex, MT (ESM)



ESSEX
MONTANA
(ESM)


エセックスはフラッグストップの駅で利用客がいないときは列車は通過をしてしまいます。 しかしこの駅はアメリカの鉄道マニアの間では有名で、単なる山間の小駅とは異なります。 この駅を有名にしているのは「アイザック・ウォルトン・イン」(Izaak Walton Inn)というホテルで、ここの鉄道の歴史と深くかかわっています。 エセックスはグレート・ノーザン鉄道によって峠越えのための補機の基地として設置された駅です(現在の所有会社はバーリントンノーザンサンタフェ鉄道 - BNSF)。  この駅と東隣の East Glacier Park駅との間に Marias Pass という標高1590mの峠があり、大陸分水嶺(Continental Divide)にもなっています。 1939年にエセックス駅の鉄道員のための宿泊施設が建てられました。 いわゆる社員寮のようなものですが、その建物をホテルに改造したのが現在のアイザック・ウォルトン・インです。 そのため昔の鉄道を偲ぶファンや、国立公園に隣接しているという立地条件から訪れる観光客などに人気があり、なかなか予約が取れないという状況です。 またこのホテルにはカブースコテージ(Caboose Cottage)という昔の車掌車を使ったロッジもあり、鉄道ファンにはこちらの利用も面白いかと思います。 静かに過ごしてもらうという目的からこのホテルにはテレビは設置されていません(ディーゼル機関車のエンジン音は騒音ではなく、心地よい音色としましょう)。  ホテル内の売店には様々な鉄道グッズが売られていて、つい何かを買いたくなってしまいます。 ホテルのすぐ目の前にはディーゼル機関車が駐機していて、蒸気がディーゼルに変わった今でもこのエセックスの補機の基地としての位置付けは全く変わっていません。 このように私はホテルやディーゼル機関車を見て満足してしまいこの駅を後にしましたが、これは大失敗でした。 実はアムトラックのエセックス駅はこのホテルから400mほどシカゴよりにあり、駅を制覇しようとしている私にとって絶対に行かなければならない場所でした。 そういうわけでエセックスはもう一度訪れなければならなくなりましたが、もう一度訪れたい場所でもあり、今度は雪の深い冬に列車で来てみようかと考えています。

星野信夫さんからこの駅に関する情報を頂きましたので紹介します。

「モンタナ州エセックスの現在の駅は、アイザック・ウォルトン・インの現在のオーナーであるラリー・ビューローがアムトラックのエセックス停車再開に際して改めて造ったもの。 旧エセックス駅はアイザック・ウォルトン・インの線路を挟んだ西向かいに在った。 その旧駅に掛かっていた駅名標がアイザック・ウォルトン・インの倉庫の外壁に掲げられている。」(原文)

星野さんありがとうございました。 エセックス駅の旧駅舎はすでに解体されていてその痕跡はほとんどありません。 下にある補機の基地の全景を撮った写真をよく見ると、写真左端に木製の電柱が立っているのがかすかに分かると思うのですが、そこが旧駅舎のあった所です。 私は近くまで行かなかったのですが、そこまで行けば何かしらの痕跡は確認できると思います。 Lindsay Korst さんの「Great Northern Railway Page」の「Depots」のコーナーに旧駅舎の写真が公開されていたのでここで紹介いたします。 ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

 

再訪記:
2007年4月に再訪しました。 今回も車での訪問となってしまったことが残念です。 今回の一番の目的は前回訪れなかったアムトラックのエセックス駅に行くことです。 4月初めということで積雪を心配していましたが、思ったより雪はなく、また春のような陽気に心が晴れ晴れとしてきます。 アムトラックのエセックス駅ですが、
フラッグストップの駅ということもあり、とてもシンプルなものでした。 プラットホームは木枠に土を盛っただけのもので、待合所などもありません(このホームはアイザック・ウォルトン・インが所有していて、アムトラックのものではありません)。 この駅の利用客はほぼ全員がホテルやコテージの宿泊客でしょうし、列車到着時にはホテルの車で送迎してくれるので、駅舎や待合所といったものは必要ないのでしょう。 でもなぜこんな所に駅を造ったのでしょうか。 ホテルの前に駅を造るのが一番良いと思いますが、構内配線、勾配信号システムなどの関係で、今の位置に落ち着いたのでしょう(旧駅舎はホテルの目の前にありました)。 この駅には列車で来たかったこともあり、せめて列車の到着を見ようと、エンパイア・ビルダー号シカゴ行きの到着時間に合わせてこの駅に来ました。 しばらくすると機関車の警笛が遠くから聞こえそしてゆったりとしたスピードでシカゴ行きのエンパイア・ビルダー号が近づいて来るのが見えました(この日は25分ほどの遅延で運転)。 しかし列車は停まらずに通過してしまいました。 この日は利用客はいなかったようです。 ホテルの送迎車がなかったのでおかしいとは感じていたのですが。 その後もしばらく駅でくつろいでいると、今度は峠から下ってきた貨物列車が通過して行きました。 下り勾配でスピードが出過ぎないようにするためブレーキを掛けながら下りてくるので、貨車のブレーキシューから煙が立ち昇っていました。 せっかくここまで来たのですからホテルにも寄って行きます。 夏に来たときは緑も濃く、花が咲き乱れ、避暑地の様相でしたが、初春のエセックスはシーズンオフの観光地です。 多くの宿泊施設が休業する冬期にもこのホテルは営業をしていて、冬にも多くのお客を集めるのが特徴ですが、さすがに雪も少なくなったこの時期はお客も少ないようで、静まり返っています。 ホテルに入ってまず確認したのがアムトラックの時刻表でした。 前回はあったのですが、今回は発見できませんでした。 そして鉄道グッズを扱う売店に入ったのですが、ここでも以前より「鉄」ものが減った気がしてなりません。 一般的な商品が大半を占め、拍子抜けしました。 それでも良く探すと絵葉書のコーナーにエセックス駅の旧駅舎が載っている葉書を発見し、すかさず購入しました(50セント)。 テラスに出るとグレートノーザン鉄道のトレードマークだったマウンテンゴートの欄干を見つけました。 さすがに本物のマウンテンゴートは見掛けませんでしたが、モンタナ州滞在中は野性の鹿はよく見ました。 昼にはいないのですが、夜になると道路へ出てきます。 衝突しそうになったことが3回あります。 モンタナの鹿ですが、奈良公園にいる鹿のような大きさを想像しないで下さい。 もっと大きくて、馬ぐらいの大きさがあります。 そんな巨大な物体が夜中のハイウェイ群れで突然横切るのです。 こちらもかなりのスピードで走っているので、出くわした時は寿命が縮む思いをします。 あんなものにぶつかったら車は大破でしょう。 そんなことから、モンタナ州というと道路を横切る鹿のことを思い出します。 もしマウンテンゴートが飛び出してきたとしても、やはりびっくりするので、それはそれでいやですね。


 

Essex Station (June 1983)

エセックス旧駅舎(1983年6月)

 

Izaak Walton Inn の売店で買った旧駅舎のポストカード(1962年当時の駅舎)。 葉書の裏にあった説明によると、「グレート・ノーザン鉄道によって1920年代終わりに建てられた駅舎で、エセックスでは3代目の駅舎になる。 1930年代から1940年代にかけて「ウォルトン」(Walton)という駅名に改称されていた。 1992年に解体」、ということです。 この駅舎はIzaak Walton Inn の真向かいに位置していました。 駅舎周辺に立っている木の電柱の何本かは今でも健在です。 駅舎側面に見える「ESSEX」という駅名標も Izaak Walton Inn の倉庫の壁に残されています。

 

駅情報:

所在地

1/4 Mile East of Izaak Walton Inn
Essex, MT 59916

Map

経緯度

北緯48.28度 西経113.61度

標高

1177

人口

30人

駅員

無人駅、フラッグストップの駅

駅舎

なし

乗降客数

3862人 (2006年度)

 

アムトラック列車情報:

列車名 経路

EMPIRE BUILDER

[ Seattle, WA (Portland, OR) - St. Paul/Minneapolis, MN - Chicago, IL ]



2007年春の訪問

Photo 1 Photo 2

エセックス駅全景
2007年4月8日

プラットホームしかない駅
2007年4月8日

Photo 3 Photo 4

電柱に打ち付けてあるシンプルな駅名標
2007年4月8日

エンパイア・ビルダー号は本日は通過
2007年4月8日

Photo 5 Photo 6

シアトル・ポートランド方面(北方向)をのぞむ
2007年4月8日

シカゴ方面(南方向)をのぞむ
2007年4月8日

Photo 7 Photo 8

大陸分水嶺の標高は5215フィート(1590m)
2007年4月8日

分水嶺にしては拓けた場所だが奥には険しい山脈
2007年4月8日

Izaak Walton Inn2007年春)

Photo 01 Photo 02

Izaak Walton Inn (正面玄関)
2007年4月8日

Izaak Walton Inn (線路側)
2007年4月8日

Photo 03 Photo 04

旧駅舎の駅名が付いている倉庫
2007年4月8日

ホテル内部
2007年4月8日

Photo 05 Photo 06

グレートノーザン鉄道を示すマウンテンゴート
2007年4月8日

ホテル前のヤードには現役の車掌車(カブース)
2007年4月8日

Photo 07 Photo 08

跨線橋には列車撮影用の穴があいている
2007年4月8日

機の基地とホテル(跨線橋から撮影)
2007年4月8日

2001年夏の訪問

Photo 001 Photo 002

Izaak Walton Inn (線路側)
2001年8月24日

ホテル内にあるアムトラック時刻表
2001年8月24日

Photo 003 Photo 004

旧駅舎の駅名が付いている倉庫
2001年8月24日

峠越え用補機の基地
2001年8月24日




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