注記： 2014年12月10日、ディアーボーン駅が西に2キロほど移転し、新しいトランスポーテーションセンターが竣工しました。　この駅はフォード博物館へのアクセスもあり、今まで博物館へのアクセス駅として機能していたグリーンフィールド・ビレッジ駅は新ディアーボーン駅に吸収される形で同日廃止されました。　またひとつアムトラックの特殊駅が消えてしまい残念です。

訪問記：

アムトラックのグリーンフィールド・ビレッジ駅は1995年に開業した比較的新しい駅です。　この駅の特徴は団体専用の臨時駅ということです。　同じく団体専用の臨時駅であるアレンワース駅と性格が似ていますが、アレンワース駅がアムトラックの時刻表に載っていないのとは違い、グリーンフィールド・ビレッジ駅はアムトラック時刻表に掲載されています。　この駅を使用するのには最低ふたつの条件が必要です： （1）20人以上のグループであること、（2）ヘンリーフォード博物館/グリーンフィールド・ビレッジへ入場すること。　この2番目の「フォード博物館へ入場」という条件があるように、この駅は外への出口がありません。　つまりホームからの出口はそのままフォード博物館の入口へ直結しています。　したがって、この駅から列車に乗る人もフォード博物館から出て、ホームに向かわなければいけません。　日本の例でいうと、すでに廃止されていますが名鉄のモンキーパークモノレール線の動物園駅と同じですね（この駅の場合は団体専用臨時駅ではないですが）。

このような外部との連絡がない駅なので、たどり着くのに苦労しました。　線路沿いの国道を車で走り、目星を付けたあたりで車を停め、雑木林をすり抜けてホームへとたどり着きました。　自分でも怪しいと自覚していましたが、こんな行動を警察官に見つかったら厄介なことになっていたことでしょう（皆さんはこのようなことをするのは止めましょう）。　駅には1本の短いホームがあるだけの簡素な駅です。　簡易待合所、公衆電話、ゴミ箱、駅名標、時刻表といったものは一切なく、いかにも団体用の臨時駅といった風情です。　駅の撮影後、今度はフォード博物館の方へと足を向けます。　すると博物館の係員が出てきて、「あなたは何ですか？　入場者ですか？」と慌てふためいて聞いてきました。　突然尋ねられたのでこちらも慌てて、「私はアムトラックの駅を撮影しているだけです」と思わず正直に答えてしまいました。　私がここにいる理由を述べたのですが、係員は「何のことか分からん」といった表情で事務所へと消えて行きました。　博物館の入場者でないのならば、係員の責任外なのでしょう。　お陰でゆっくりと博物館へのアクセスを見ることが出来ました。　アムトラックの駅と隣接して、フォード博物館の園内鉄道の駅があります。　私が駅に着いてすぐに蒸気機関車牽引の客車列車が発車して行ったので、この駅からはこの汽車に乗ることが出来るようです。

この駅は団体専用の臨時駅と書きましたが、2005年までは一般駅として時刻表にも停車時刻が表示されていました。　団体用ではないので、フォード博物館へ行く人なら誰でも利用出来た駅でした。　しかし、2006年春の改正から団体専用の臨時駅に格下げになりました。　このフォード博物館は冬期休業するので、通常5月から10月末までがグリーンフィールド・ビレッジ駅の利用可能期間となります。　現在は臨時駅なので年間乗降客数のデータはありませんが、一般駅だった2005年度の年間乗降客数は676人となっています。　駅の営業が6ヶ月間なので、平均すると1月に100人程度の利用だったことが分かります。　この人数が多いのか少ないのか、微妙なところです。

駅情報：

所在地

Henry Ford Museum & Greenfield Village
Dearborn, MI 48124

経緯度

北緯42.31度　西経83.22度

標高

183m / 600ft

人口

97775人 (Dearborn)

駅舎

駅舎なし

現況

不明

アムトラック列車情報：

WOLVERINE

[ Chicago, IL - Battle Creek, MI - Detroit, MI - Pontiac, MI ]

駅全景 （左がフォード博物館、右がプラットホーム）
2002年5月9日

フォード博物館への入場者しか利用出来ません
2002年5月9日

ポンティアック方面（東方向）をのぞむ
2002年5月9日

シカゴ方面（西方向）をのぞむ
2002年5月9日

フォード博物館の園内鉄道用の駅舎
2002年5月9日

フォード博物館の園内鉄道用のプラットホーム
2002年5月9日