LAKELAND |
FLORIDA |
(LAK, LKL) |
レークランドという地名が示すように小さな湖沼がたくさんある町です。 アムトラックのレークランド駅の目の前にも湖(小さな池)があります。 アムトラックの駅舎は1998年に建てられた近代的なものですが、角ばったデザインの建物は駅らしい雰囲気があります。 しかし大きな車寄せの上に跨るように建っていて、駅舎の下が空洞になっているので、少し不安定にも感じます。 このように1階部分は車寄せで、2階部分にチケットカウンター・待合所があります。 プラットホームも2階部分にあるので、待合所からは上下移動なしにそのまま出られます。 単線の片側ホームで、線路側の敷地は木などが生い茂っているので広くはありません。 ホームには長い上屋があり舗装もきちんとされています。
現在の駅から西に2.5キロほど行くと、1960年建造のシーボード・コーストライン鉄道(Seaboard Coast Line Railroad - SCL)の駅舎が廃墟のまま残っています。 この駅舎は1998年に新駅舎が出来るまで、アムトラックも使用していました。 60年代建造の近代駅舎ですが、今は何にも使用されておらず、金網で囲われ草むしています。 この駅舎は大きいですし、プラットホームも上屋付きで残っています。 またホームの敷地も広く取られているので、今でも十分利用価値があるような気がします。 それにも関わらずアムトラックが新築してまで駅を移転した理由は一体何なのでしょうか。 これは私の推測ですが、以前アムトラックはオカラを経由しタンパを通らずにマイアミへと行く列車を運行していました。 このルートで旧駅舎のレークランドに停車し、マイアミへ向かおうとするとレークランド駅でスイッチバックする必要がありました。 旧駅舎の周辺略図で緑の線で書いてあるのがオカラを経由する路線ですが、ジャンクションが旧駅舎の西側なので、西向きに駅に進入することになり、マイアミに向かうには不向きの駅と分かります。 その点現駅舎はジャンクションの東側にあるので、黒線で書いてある貨物線を使用すればレークランド駅に東向きに進入でき、そのままの向きでマイアミへと向かえます。 要するにオカラ経由の列車をマイアミ方面へ行かせやすくするために駅を移転したのではないかと思うのです。 でもこのオカラ経由の列車はすでに廃止されています。 もしこの仮説の理由だけで移転したのならば、アムトラックとしては大散財だったのではないでしょうか。 今の列車の運行では旧駅舎のロケーションでも全く問題ないのですから(これは結果論ですけどね)。 追記: 旧シーボード・コーストライン鉄道の駅舎は2008年に取り壊されました。
レークランドの一番の特徴は、同じ列車が1日2回停車する駅ということです。 右図のように、シルバースター号はフロリダ半島西海岸の最大都市タンパを経由するので、レークランドとタンパの区間を重複運転します。 重複運転区間上のレークランド駅はタンパへ向かう時と、タンパから来る時の合計2回通るのが分かります。 例を挙げて説明しましょう。 ニューヨーク発マイアミ行きの南行き列車に乗っているとします。 キッシミーを過ぎると1回目のレークランドへ停車します。 ここでの客扱いは降車のみです。 その後タンパへ行き、折り返して2回目のレークランド駅へ停車します。 ここでの客扱いは乗車のみです。 そして列車はウィンターヘイブンを通り、マイアミへと南進します。 このように1回目は「降車」のみ、2回目は「乗車」のみの扱いをするので、この駅にはふたつの駅名コードがあります。 駅名コード「LAK」は南行き列車からの降車と、北行き列車への乗車、駅名コード「LAL」は北行き列車からの降車と、南行き列車への乗車に使用します。
ここで私はひとつの疑問を感じました。 この駅名コードの規則に従うと、レークランド~タンパ間の切符が買えないのです。 まず南行き列車ですが、レークランドに到着すると降車のみの扱い(LAK)しかせず、乗車できません。 ここで乗車できないとタンパへは行けません。 そしてタンパで折り返してきた南行き列車は2回目のレークランドに停まりますが、ここでは乗車の扱い(LAL)しかしません。 乗車しか出来ないということは、タンパからのお客は降りることが出来ません。 次に北行き列車ですが、全く同じことが起こります。 レークランドに到着すると降車のみの扱い(LAL)で、乗車できません。 ここで乗車できないとタンパへは行けません。 そしてタンパで折り返してきた北行き列車は2回目のレークランドに停まりますが、ここでは乗車の扱い(LAK)しかしません。 乗車しか出来ないということは、タンパからのお客は降りることが出来ません。 このようにタンパへ向かう列車に関しては「降車」の扱いしかしないので、乗りたくても乗れません。 試しにアムトラックのホームページでレークランド~タンパ間の切符を検索しましたが、設定されていませんでした。 そこで、アムトラックに直接尋ねてみました。 アムトラックからの回答は「現在の運賃体系ではレークランド~タンパ間のみの乗車はできない」ということでした。 納得いかない回答でしたが仕方ありません。 もっとも、レークランドとタンパを往復する人はあまりいないと思いますし、私が憤慨するほど実害はないのかも知れません。 同じ列車が2回停車し、駅名コードがふたつもあり、毎日列車が走っているのに次の駅(タンパ)まで行くことが出来ない。 こんな珍しい駅はアムトラックの中を探してもここだけです。 |
駅情報: |
所在地 |
600 Lake Mirror Drive |
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経緯度 |
北緯28.05度 西経81.95度 |
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標高 |
59m / 195ft |
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人口 |
97422人 (2010年度統計) |
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駅員 |
有人駅 |
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営業時間 |
10:00 - 18:00 毎日 |
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駅舎 |
近代駅舎、1998年建造 |
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乗降客数 |
24696人 (2011年度) |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ New York, NY - Columbia, SC - Tampa, FL - Miami, FL ] |
2001年訪問 |
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駅舎正面(西側) |
駅舎東側 |
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駅前には湖がある |
駅舎内部 |
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西方向(タンパ方面)をのぞむ |
東方向(ニューヨーク・マイアミ方面)をのぞむ |
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シルバースター号の車端からの撮影(2008年) | ||
レークランド駅に到着 |
駅舎ホーム側 |
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レークランド駅を発車 |
駅の西側にある踏切 |
Lakeland Seaboard Coast Line Railway Depot (旧駅舎) |
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1960年建造、レークランドの旧駅舎 |
この駅舎は現在放置されている(閉鎖中) |
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側面には「Seaboard
Railroad」の文字が残る |
旧駅舎ホーム側 |
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東方向(ニューヨーク・マイアミ方面)をのぞむ |
西方向(タンパ方面)をのぞむ |
アムトラックが使用していた旧シーボード・コーストライン駅舎 (1988年10月、列車から撮影) |
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