STOCKTON Robert J. Cabral Station |
CALIFORNIA |
(SKT) |
ここはストックトン ACE/ダウンタウン駅といい、その名の通り ACE (Altamont Commuter Express)というコミュータートレインのための駅があります。 コミュータートレインの駅なので新しく、屋根付きのプラットホームがあるだけの簡素な駅です。 新しい駅なのですが、すぐ横に1930年建造の旧サザン・パシフィック鉄道の古めかしく重厚なレンガ造りの駅舎が使われずに放置してあります。 こういう新旧駅の同居は都市圏にあるアメリカ旅客鉄道のひとつの特徴で、50、60年代に一度廃止された駅が、近年の道路渋滞悪化における通勤列車の運行開始と結びついて再び復活するパターンをよく見かけます。 その際に、旧駅舎を改装して公共交通機関のハブ(トランスポーテーションセンター)とし、昔日の駅風景がよみがえった所もあります。 鉄道ファンとしてはとても喜ばしい出来事です。 ここのサザン・パシフィック鉄道の旧駅舎は現在は廃墟ですが、修復計画はあリ、いつの日が堂々とした駅風景を再び見せてくれることでしょう。 「ストックトン ACE/ダウンタウン駅」 という表現から、アムトラックがコミュータートレインの ACE の駅を共用しているように感じてしまいますが、これは間違いです。 実はこの駅のプラットホームでアムトラックの列車を待っていても乗ることが出来ません。 最初にこの駅を見た時、ひとつの疑問が沸き起こりました。 それは、このプラットホームに入る線路が北側で途切れていたということです。 つまり行止まり式の駅だったのです。 アムトラックの列車はこの駅が終点ではないので、このプラットホームを使用するにはスイッチバックをしなければならず、手間のかかる不便な駅だと思いました。 アムトラックは汽車時代の古き良き伝統を引きずっているからか、駅進入時によくスイッチバックをしたりするので、ここでもそのような事をするのかなと、ちょっと気になる駅のひとつになっていました。 幸運にもここを走るアムトラックのサクラメント行きサンホーキンズ号に乗るチャンスに恵まれ、謎が解ける日がやってきました。 ストックトン駅に近づくと、列車はノロノロと走るようになり、いかにも行止まり式のホームに進入するぞ、という雰囲気を出していました。 ホームのある線は一番左側なのでそこまでポイントを渡り行くのだと思っていたら、そのまま直進をしホームのないところで停車してしまいました。 慌てて窓から進行方向を覗くと、ACE のホームが斜め前に見えました。 「アムトラックはあのホームを使っていない!」、思わず興奮して心の中で叫びました。 ではどうやってお客は乗り降りするのだろうかと、車外を注視していると、踏切りの所から降りて来るお客が見えました。 なんとアムトラックは車両の乗降ドアの部分をうまく踏切りの所に合わせて停車し、そこをホームとして使用していたのでした。 予想外の展開に唖然としました。 こんなことが出来るなら、踏切りのある所は全部駅に出来るではないか。 何だかみっともないので、旧駅舎修復と合わせてこの駅の行止まり式を解消し、アムトラックもそのプラットホームを使用してお客を乗降させて欲しいものです。 ですからこのアムトラックの駅に正式名称を付けるとすれば 「ストックトン ウェバー通り踏切り駅」 とするべきです。 良い方に解釈すれば非常に個性のある駅と言えるでしょう。 注:その後、行き止まり線が延長され北側も本線と繋がりました。 2018年3月に観察するとアムトラックの列車はホームのある側線に進入し、しっかりとホームで乗降を行っていました。 これは喜ばしいことですが、個性のある踏切駅は消滅しました。 プラットホームの変遷は下図参照。 また駅の複名が「ACE/Downtown」から「Robert J. Cabral Station」に変更されています。
ストックトンにはふたつのアムトラック駅があり、ここ ACE/ダウンタウン駅は 「ベーカーズフィールド ~ ストックトン ~ サクラメント」 系統の列車が使用し、もうひとつのサンホーキン・ストリート駅には 「ベーカーズフィールド ~ ストックトン ~ オークランド」 系統の列車が停車します。 両駅の間は2キロほど離れていますが、列車によっては、両駅間を連絡してくれるアムトラックバスが運行されています。 ふたつの駅の位置関係は、下にある地図を参照してください。
「ストックトン ふたつのアムトラック駅」 追記: 旧サザン・パシフィック鉄道の駅舎は2003年10月24日に修復工事が完成し、一般に開放されました。 内装は開業当時の1930年を再現しているそうです。 待合所は平日(月~金)の朝6時から夜7時まで開放しています。 週末(土日)は休みです。 |
駅情報: |
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所在地 |
N. Aurora & E. Weber Streets |
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経緯度 |
北緯37.96度 西経121.28度 |
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標高 |
6m |
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人口 |
291707人 (2010年統計) |
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駅員 |
無人駅 |
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駅舎 |
レンガ造り駅舎、1930年建造 |
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乗降客数 |
38404人 (2011年度) |
アムトラック列車情報: |
列車名 | 経路 |
[ Sacramento, CA - Stockton, CA - Fresno, CA - Bakersfield, CA ] |
都市鉄道情報: |
名称 | 種別 |
ACE (Altamont Commuter Express) |
コミュータートレイン(San Jose - Stockton) |
2018年3月29日訪問 |
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ストックトンACE駅 |
駅舎正面 |
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駅舎正面 |
駅舎正面 |
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駅前通り(西方向をのぞむ) |
時計台 |
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待合所 |
駅舎ホーム側 |
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駅舎ホーム側 |
駅舎ホーム側 |
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プラットホーム |
アムトラックの自動券売機 (Quik-Trak) |
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サクラメント方面 (北方向) 線路は本線とつながりアムトラックも使用可能に |
ベーカーズフィールド方面 (南方向) |
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2005年12月5日訪問 |
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改修された旧駅舎 |
駅舎正面 |
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駅舎ホーム側 |
待合所にあった1930年開業当時の駅の写真 |
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プラットホーム |
行止式の配線のため、アムトラックは使用不可 |
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ウェバー通りの踏切上で列車を降りる乗客 |
ストックトン市の中心部 |
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2001年12月15日訪問 |
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プラットホームと屋根しかない駅 |
旧サザン・パシフィック鉄道駅舎(閉鎖中) |
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サクラメント方面 (北方向) |
ベーカーズフィールド方面 (南方向) |
閉鎖される前のサザンパシフィック鉄道の駅舎(1979年11月) |
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