1940年から運行され2009年に廃止された歴史的スキートレインを引き継いで、アムトラックが「ウィンターパークエクスプレス」（Winter Park Express）を2017年のスキーシーズンから運行開始しました。　デンバーユニオンステーションとモファットトンネルの西出口にあるウィンターパークリゾート駅（Winter Park Resort）を2時間で結ぶ、冬期週末のみ運行の季節列車です。　 アムトラックから公式な距離数が発表されていないので、両駅間の正確な距離は不明ですが、約60マイル（97km）くらいと考えてください。　この列車はリゾート客専用の特殊な運用のため、アムトラックでは珍しい始発駅の次が終着駅という列車です。　編成は機関車2台を先頭に8両のスーパーライナーコーチ車両で、食堂車やラウンジカーは連結されていません。　スキーやボードなどはスーパーライナー1階にあるバゲッジ室に設置されているスキーラックに預けます。　そのためこの列車にはコーチ/バゲッジカー（2階が座席、1階が荷物室）の車両が4両も連結されています。　ウィンターパークリゾート駅に待避線がないので、デンバーから到着した西行き列車はお客を降ろすとフレーザーまで北上します。　デルタ線で方向転換をした後はアムトラックのフレーザー駅の少し北にある待避線に留まり、夕方に東行き（デンバー行き）列車としてウィンターパークリゾート駅へと戻ります。

私は2018年１月にウィンターパークリゾート駅からデンバーユニオンステーションまで乗車しました。　もちろんスキーリゾートが目的でなく、このウィンターパークエクスプレスに乗車することを目的でやってきました。　初乗りですが、ルートはカリフォルニアゼファーと全く同じなので、新線に乗る時ほど興奮はしていません。　まずは発車15分ほど前に列車が入線、お客が乗り込み、スキーの積み込みも終わると定刻（午後4時30分）に機関車のホーンが鳴り発車です。　列車は動き出しましたが、なんと後進しています。　車掌がすかさず「信号システムの関係で一旦後進してからデンバーへ向かいます」と放送をしました。　ウィンターパークリゾート駅では機関車がモファットトンネルに入る直前のところで停車していましたが、このままトンネルに入ることできないようで、後進が必要ということです。　一旦駅を外れるところまでさがり、今度こそ前進してデンバーへと向かいます。　ウィンターパークリゾート駅を過ぎて小さな川を渡るとすぐにモファットトンネルに突入です。　長いトンネルの中、時たま激しく上下に揺れます。　前回2009年にカリフォルニアゼファーで通過した時も同じように揺れたので、そのときから改善していないのか。　モファットトンネルを抜けるとすでに夕暮れです。　そのあとは日も暮れ、進行左車窓には高みから見下ろすデンバー市街地の夜景が広がっています。　アメリカの「姨捨」と言ってよい眺望です。　広々快適なスーパーライナーの座席でしばし眠ると、もうデンバーです。　ここでも列車はスイッチバックをして、客車を先頭にデンバーユニオンステーションへゆっくりと進入とします。　「越後中里のスキー駅」、「姨捨の眺望」、「上野の推進運転」を すべて堪能できるウィンターパークエクスプレスはお勧めです。

「 編成実例 - Winter Park Express の車両番号 」

列車情報：

運行区間

Denver - Winter Park Resort, CO

距離

データなし

運行日

冬期の週末のみ

所要時間

2時間00分（西行き）

2時間10分（東行き）

使用車両

スーパーライナー （2階建て車両）

編成

コーチ車、コーチ/荷物車

停車駅情報：

標高

備考

Denver

-

  1575 m

Colorado State Capitol

Winter Park Resort

-

 2771 m

Ski Resort

2018年1月乗車

ウィンターパークリゾート駅のゲート

ウィンターパークエクスプレスへ乗車

ウィンターパークエクスプレスへ乗車

駅はモファットトンネルの西出口のすぐそば

バゲッジ室へスキーを預けます

スーパーライナーバゲッジ室にあるスキーラック

スーパーライナーのコーチ

座席にはスキー列車専用のシートカバー

モファットトンネルを抜けると夕暮れに

車窓にはデンバー市街地の夜景

ウィンターパークエクスプレスは推進運転で

デンバーユニオンステーションに進入

左のトラック5がウィンターパークエクスプレス

右のトラック4がカリフォルニアゼファー

ウィンターパークエクスプレス用のスーパーライナー

ホームにあるスキーラック