雑木林の中にこつ然と姿を現す巨大なターミナル。　周囲に人家もなく立地条件としては秘境駅ですが、駅の規模が大きいので、その場にいると 「秘境」 などという言葉はまず浮かんできません。　近代的な施設に支配されたこの駅はオートトレイン（Auto Train）の駅で、ここロートン（ワシントンＤＣの約20キロ南）と、フロリダ州サンフォード（オーランドの約40キロ北）を結んでいるオートトレインのターミナルです。　この駅はオートトレイン専用で、他のアムトラックの列車は停まりません。　ここから一番近いアムトラックの駅は、約5キロ南にあるウッドブリッジ駅（Woodbridge）でリージョナル号が運行されています。　

アムトラックの駅ではありませんが、ロートンにはもうひとつの駅があります。　それはコミュータートレインのバージニア・レールウェイ・エクスプレス（Virginia Railway Express - VRE）の駅で、アムトラックのロートン駅から北へ1.5キロの所にあります。　そのＶＲＥのロートン駅は小さな無人駅で、緑に囲まれた秘境駅といった雰囲気でした。　このＶＲＥロートン駅から少し離れた所に新興住宅地があり、建売なのか同じような形の家が並んでいて、日本ならば 「OOO野」 とか 「XXX台」 といった駅名が似合いそうな一帯でした。　

さて、話をオートトレイン駅に戻します。　駅舎は斬新なスタイルで、側面はガラス張りになっているので、高い天井の待合所に初春の暖かい日が差し込んでいました。　あまりにも現代的な造りなので、どこかのショッピング･モールにあるフード･コートを連想してしまいます。　ここはアムトラック係員のいる有人駅なのでトイレなどの一通りの施設は整っています。　この駅の一番の特徴はそのプラットホームにあります。　オートトレインの編成は通常、機関車2台、客車18両、車載車33両（時期により変更はあります）となっていて、アムトラックでは最長の編成となっています。　その客車18両分をカバーするため、ロートン駅のプラットホームは451メートルあり、こちらもアムトラック最長となっています。　ここで、それならば南の終点サンフォード駅も同じ長さのホームがあるはずだろう、と考える人もいると思います。　しかしサンフォードには長いホームがなく、その代わりに1番線と2番線という1本の島式ホームを使い、1番線に到着した列車のはみ出した部分を切り離し、それを2番線に入線させるといった方法を取っています。　ですからサンフォード駅のホームはロートン駅ほど長くないのです。　

オートトレインはアムトラックの中でも人気列車で、待合所には多くの人がいてとても賑やかでした。　アムトラックも大々的に宣伝をしていて、集客に力を入れています。　そういう努力が報われているのか、活気のある駅は雰囲気も良く、アムトラック係員の態度もどこか丁重な感じがしました。　この駅の年間利用客数は25万人を超えています。　このオートトレインはここロートンの次は終点のサンフォードなので、ロートンの乗客はサンフォードの降客、サンフォードの乗客はロートンの降客になります。　そのため両駅の年間乗降客数は一致しています。　もし違っていたら怖いですよね。　例えば車内で殺人事件が起きて被害者（乗客）が途中で降ろされたとしたら、両駅の乗降客数は変わるのでしょうか。　少なくとも2011年度は同数でしたので、何事もなかったようですね。

駅情報：

所在地

8006 Lorton Road (I-95 Exit163)
Lorton, VA 22079

経緯度

北緯38.71度　西経77.22度

標高

24ｍ

人口

18610人 （2010年統計）

駅員

有人駅

営業時間

8:30 - 16:00　毎日

駅舎

近代駅舎、2000年建造

乗降客数

259944人 （2011年度）

アムトラック列車情報：

AUTO TRAIN

[ Lorton, VA - Sanford, FL ]

駅入口
2003年5月1日

駅舎正面
2003年5月1日

チェックイン・ゲート
2003年5月1日

待合所と一番奥にチケットカウンター
2003年5月1日

アムトラックで最も長いプラットホーム（451m）
2003年5月1日

車載車への車両積込所
2003年5月1日

VRE（コミュータートレイン）のロートン駅
2003年5月1日

ここから1.5キロ南にオートトレイン駅がある。
2003年5月1日