ACELA (2019年9月まではAcela Express) |
Boston, MA - Washington, DC |
735 km / 457 miles |
「アセラ」(Acela) 、2019年9月までは「アセラ・エクスプレス」(Acela Express)、はアムトラックを代表する高速列車で、全線電化の高規格路線を最高時速150マイル(241キロ)で走ります。 ただし最高速で走行できる区間はボストン~ニューへブン間にある一部しかなく、その他の区間では時速135マイル(217キロ)以下に制限されています。 アセラの走る北東回廊線(Northeast Corridor)は高速列車専用路線と思われがちですが、都市部ではコミュータートレイン(通勤列車)と路線を共用していますし、細い鉄製の架線柱は錆ついています、架線の張り方も頼りなく、また枕木が木製の場所もあります。 もっと驚いたのは途中で貨物の引込線が分岐していくのを見たときです。 北東回廊線はアムトラックが所有する路線ですが、貨物列車の乗り入れもいまだに行われているのです。 このように高規格といっても、日本の新幹線のレベルとは程遠いものがあります。 「Acela」とは「Acceleration」(加速)と「Excellence」(優秀)の造語から来ています。 「加速」は良いかもしれませんが、「優秀」とはいえない車両です。 アセラの編成はアルストムとボンバルディアの連合で製造したものですが、致命的な故障・不具合がいくつかありました。 記憶に新しいところでは、2005年にディスクブレーキに亀裂が見つかり、数ヶ月に渡り運休という大問題になりました。 しかし運行してしまえばアセラの評価は概して良いようです。 私も利用したことがありますが、シートの出来や乗り心地は中々良く、乗車記などでも褒め言葉の方をよく目にします。 WiFiサービスも便利です。 デザイン的にもすっきりとしていて好感がもてます。 濃紺の屋根にシルバーのボディーという配色も落ち着いていて好きですね。 そのシルバーの車体に鮮やかな青のアセラのロゴが映えます。 外観は好きですが、内装はひとつだけ気に入らないところがありました。 室内の照明がいまいちです。 シートに座ると真上に線路方向に並んだ蛍光灯があり、その照明が直接的に目に入り、チカチカして落ち着かなかったです。 アメリカでは間接照明を好んで使う傾向にあり、いつも薄暗くて困ることの方が多いのですが、アセラでは逆に眩し過ぎて困りました。 照明についてはあまり悪い評価は聞いていないので、不思議な気がします。 クルーが減光しなかったからでしょうか。 今度はファーストクラスを試してみましょう。 アセラと同じ区間には「ノースイースト・リージョナル号」 (以下リージョナル号)が走っています。 「アセラ」と「リージョナル」は日本でいう「ひかり」と「こだま」の関係と同じです。 日本の新幹線のような過密ダイヤではなく、運転間隔に余裕があるこの路線では、リージョナル号が1運行中にアセラに追い越されることは多くて1回なので、所要時間にそれほどの違いはありません。 「速度差」というより、アセラはビジネス客、リージョナル号は一般客といった目的別列車と考えた方がよいです。 2006年11月の改正で、ニューヨークとワシントンDCの両駅を午前6時00分から午後8時00分まで1時間おきに発車するようになり、利便性が向上しました。 列車の編成は電気機関車2台で客車6両を挟んだ集中動力式で、フランスのTGVなどと同じ方式です。 客車はファーストクラス1両、ビジネスクラス4両、カフェカー1両の固定編成です(優等列車なのでコーチ車は連結されていません)。 定員はファーストクラス44人、ビジネスクラス260人の合計304人になります。 ファーストクラスは1x2のシートレイアウトで、座席の幅は58センチ、前の席までのシートピッチは107センチあります。 ファーストクラスの乗客には駅では「アセラ・クラブ」(ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ワシントンDCの4駅に設置)が利用でき、車内では食事、飲み物、新聞が提供されます。 ビジネスクラスは2x2のシートレイアウトで、座席の幅はファーストクラスより若干狭い53センチ、前の席までのシートピッチはファーストクラスと同じ107センチあります。 ビジネスクラスの乗客は「クラブ・アセラ」は使用できません。 また車内での食事・飲み物・新聞のサービスもありません(編成中央にあるカフェカーをご利用下さい)。 ファーストクラス、ビジネスクラスとも車両の一部にはテーブルが備えてある向かい合わせの座席があり、商談や小グループには最適でしょう。 座席の上には荷物置場のスペースがあり、飛行機のオーバーヘッドビンのスタイルと同じでドアが付いているタイプです。 大きな荷物を持っている方には、乗降口付近にある大型荷物置場を使用してください。 大型荷物置場に荷物を置くと席にいる間は目が離れてしまうので、チェーン鍵などを用意していた方が安心できます。 そのほかの情報としては、この列車は座席、トイレともに身障者対応となっています。 アセラの電気機関車は3相交流非同期モーターを使用し、機関車2台の合計で12300馬力になります。 今はアムトラックが一括管理している北東回廊線ですが、以前はいくつかの鉄道会社が所有していたので電化方式に違いがあります。 そのためアセラの機関車はそのすべての電力に合うようなシステムになっています。 この路線には3種類の交流電化方式があり(25kV 60Hz AC、12kV 60Hz AC、12kV 25Hz AC)、機関車は走行中に自動的にシステムの変更を行います。 アセラは両端に機関車が付いているので編成の向きは変えずに運行していると思ったのですが、どうもそうではないらしいです。 調べてみると、南行きでファーストクラスが先頭のこともあれば、北行きでファーストクラスが先頭のこともあるのです。 ということは編成の向きが変わっているということです。 ではアセラはいつもファーストクラスが先頭で走っているのか 、というとそうではなく、南行きでビジネスクラスが先頭、北行きでビジネスクラスが先頭という例もあるのです。 ですからどの向きで来るかはその時にならないと分かりません。 せっかくの固定編成なのだから編成の向きを変えずに走れば、ホームでの乗車位置などを特定できるのでさらに利便性が上がると思うのですが、この規則性の無さはアムトラックらしいですね。 もうひとつ頭を悩ませてくれたのはパンタグラフの向きです。 アセラの電気機関車1台にはシングルアームのパンタグラフが2つ装着されています。 2つを同時に上げて走ることはありませんが、もし2つとも上げたとすると「<>」こんな格好になります。 このようにアームの向きが左右で違い、走行中は1つしか使用しないということは、向きが「<」か「>」のどちらかになるはずです。 では一体どちらのパンタグラフを使用するのが正しいのか、という疑問が浮かびました。 これまた色々と調べてみたのですが、例えば進行方向が「←」だとすると、パンタグラフは前の機関車が「 >」、後ろの機関車も「>」になっていることが多いです。 ただし、まれに進行方向が「←」で、パンタグラフが前後の機関車とも「<」「<」で走っている場合もあります。 アームの向きにかかわらず両方向に走行できるようですが、機関車2台のパンタグラフは常に同じ向きをしています。 つまり「<」「<」や「>」「>」は見かけますが、「<」「>」や「>」「<」のコンビは見ません(これをアセラのパンタグラフ平行の法則と名付けましょう)。 強いてプロトタイプをひとつに決めるとすれば、先頭客車はビジネスクラス車(ビジネスクラス・エンドカーという)で、進行方向が「←」だとすると、パンタグラフは前後の機関車とも「>」「>」という、下の基本編成図の列車が左側に走っていくのが一番見かけるパターンです。 バックマン製のアセラ・エクスプレスHO・Nゲージをお持ちの方は、模型で再現する際の参考にして下さい。 バックマンのアセラですが、HOの出来はなかなか良いです。 Nは外観の出来は良好、しかし走りは最悪という評価です。 客車内部のレイアウトは「TGVweb」のアセラ・エクスプレスのページで公開されていました。 ご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
追記:
Train Gif: Alex Stroshane of Amtrak Prototype & Model
「アセラエクスプレス編成実例」
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列車情報: |
運行区間 |
Boston, MA - Washington, DC |
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距離 |
735 km / 457 miles |
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運行日 |
毎日 |
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所要時間 |
6時間30分 (最速の南行き列車) |
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使用車両 |
アセラ車両 |
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編成 |
ファーストクラス、ビジネスクラス、 |
停車駅情報: |
停車駅 |
州 |
時間帯 |
距離 |
標高 |
備考 |
Boston - South |
MA | ET |
0 mi |
4 m |
|
Boston - Back Bay |
MA | ET |
1 mi |
6 m |
|
MA | ET |
11 mi |
14 m |
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RI | ET |
43 mi |
3 m |
||
(Kingston) |
RI | ET |
70 mi |
36 m |
通過 |
(Westerly) |
RI | ET |
87 mi |
11 m |
通過 |
(Mystic) |
CT | ET |
96 mi |
3 m |
通過 |
CT | ET |
105 mi |
2 m |
平日の1日1往復のみ停車 |
|
CT | ET |
123 mi |
9 m |
通過 |
|
CT | ET |
156 mi |
6 m |
|
|
CT | ET |
173 mi |
5 m |
通過 |
|
CT | ET |
195 mi |
6 m |
一部通過 |
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NY | ET |
212 mi |
23 m |
通過 |
|
New York - Penn. Station |
NY | ET |
231 mi |
12 m |
|
NJ | ET |
241 mi |
5 m |
||
NJ | ET |
244 mi |
6 m |
通過 |
|
NJ | ET |
255 mi |
17 m |
一部通過 |
|
NJ | ET |
263 mi |
12 m |
通過 |
|
NJ | ET |
279 mi |
21 m |
通過 |
|
NJ | ET |
289 mi |
12 m |
平日の1日1往復のみ停車 |
|
PA | ET |
305 mi |
12 m |
通過 |
|
PA | ET |
318 mi |
30 m |
通過 |
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Philadelphia - 30th Street |
PA | ET |
322 mi |
6 m |
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DE | ET |
347 mi |
10 m |
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(Newark) |
DE | ET |
359 mi |
27 m |
通過 |
(Aberdeen) |
MD | ET |
386 mi |
24 m |
通過 |
MD | ET |
416 mi |
27 m |
|
|
MD | ET |
427 mi |
24 m |
一部通過 |
|
MD | ET |
448 mi |
33 m |
通過 |
|
DC | ET |
457 mi |
15 m |
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アムトラックの駅のみ全駅掲載で、都市部のコミュータートレインの駅は省略しています。 |
Acela Express #2168 in 2010 |
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Newark駅のパタパタ案内板、上から5番目がアセラ |
Acela Express #2168がNewarkに到着 |
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Acela Cafe Car |
Acela Cafe Car |
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Acela Cafe Car |
Acela Cafe Car |
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Acela - Business Class車内 |
Acela - Business Class向い合せシート |
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Acela - Business Carデッキ付近のスペース |
Acela - Business Carトイレ |
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Acela - Business Carドア |
Acela - Business Carの行先掲示板 |
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Acela - Business Carの幌 |
Acela - Business Carの幌 |
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Acela Express #2168 が終点Bostonに到着 |
Acela - Business Quiet Car |
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Acela Express at Boston South in 2009 |
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Acela 2004機関車 |
Acela 2016機関車 |
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Acela ロゴ小 |
Acela 2016機関車側面 |
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Acela ロゴ大 |
Acela 2004機関車のパンタグラフ |
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Acela - First Class |
Acela - First Class |
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Acela - Business Car |
Acela - Business Classのドア |
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Acela機関車の台車(車輪側面がブレーキディスク) |
Acela Business Carの台車 |
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Acela Express at Wilmington, DE in 2003 |
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Acela 2007機関車 |
Acela 2007機関車 |
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Acela 2007機関車 |
Acela 2007機関車 |
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Acela 2007機関車 |
屋根上のカバーが外されていて機器が良く見える |
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